不動産の相続登記とは?
司法書士選び・手続き・必要書類・費用を
分かりやすく解説
「親が亡くなったけれど、実家の名義変更はどうすればいいの?」「相続登記が義務化されたと聞いたけれど、何をすればいいか分からない」——こうした不安を抱えている方は、広島でもたくさんいらっしゃいます。
2024年4月1日から、不動産の相続登記は法律上の義務となりました。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される場合もあります。
この記事では、不動産の相続登記とは何か、手続きの流れ、必要書類、費用の目安、そして自分でできるのか司法書士に依頼すべきかまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。広島で相続登記に強い司法書士事務所5選もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産の相続登記とは
不動産の相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた土地や建物の名義を、相続人の名義に変更する手続きのことです。正式には「相続による所有権移転登記」といいます。
たとえば、広島市内にある実家の土地・建物が亡くなったお父様の名義のまま残っている場合、これを相続人であるお母様やお子さまの名義に変更するのが相続登記です。
不動産の登記は、法務局(登記所)が管理する「登記簿」に、誰がその不動産の所有者であるかを公に記録するものです。相続が発生したときに、登記簿上の名義を現在の所有者に書き換えることで、所有権を第三者に対して主張できるようになります。
逆にいえば、相続登記をしないまま放置すると、その不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりすることが法的に難しくなります。さらに、世代をまたいで登記されないまま時間が経つと、相続関係が複雑化し、誰が本当の所有者なのか分からなくなる「所有者不明土地」の問題につながります。
相続登記が必要になるケース
相続登記が必要になるのは、被相続人が土地や建物といった不動産を所有していた場合です。具体的には、自宅(戸建て・マンション)、アパートや駐車場などの収益不動産、農地、山林、さらには共有名義の不動産なども対象となります。
また、登記簿に記載されている名義人がすでに亡くなっている場合は、その方の相続人から現在の所有者に至るまで、順を追って名義を変更していく必要があります。たとえば、祖父名義のまま放置されていた土地を孫の名義にするには、祖父から父へ、父から孫へと段階的に相続登記を行うケースもあります。
相続登記をしないリスク
相続登記をしないまま放置することには、以下のようなリスクがあります。
- 不動産の売却・活用ができない:登記簿上の名義が被相続人のままでは、不動産を売却したり、リフォームのためにローンを組んだりすることができません
- 相続関係が複雑化する:世代を重ねるごとに相続人の数が増え、全員の同意を得ることが難しくなります。いわゆる「数次相続」の状態になると、手続きの難易度が大幅に上がります
- 所有者不明土地の問題:誰が所有者か分からない土地は、公共事業や災害復旧の妨げとなります。広島県では2018年の西日本豪雨の復旧工事でも、所有者不明土地が問題になったケースがありました
- 過料の対象になる:2024年4月の義務化により、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります
【2024年4月施行】相続登記の義務化と期限・罰則
2024年4月1日、改正不動産登記法が施行され、これまで任意だった不動産の相続登記が法律上の義務となりました。これは、全国的に問題となっている「所有者不明土地」の解消を目的とした法改正です(参考:法務省|相続登記の申請が義務化されました)。
義務化の具体的な内容
相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の取得を知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由がないにもかかわらず、3年以内に相続登記の申請をしなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。これは行政上の制裁であり、刑事罰とは異なりますが、放置するリスクとして認識しておく必要があります。
過去の相続にも遡及適用される
この義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続についても遡って適用されます。すでに相続が発生しているのに登記をしていないケースでは、2024年4月1日または相続を知った日のいずれか遅い方から3年以内が申請期限となります。
つまり、何年も前に亡くなった親御さんの名義のまま放置している不動産がある場合は、2027年3月末までに登記を完了させる必要があります。広島でも、古くからの土地や実家をそのままにしている方が少なくありません。心当たりのある方は、早めの対応をおすすめします。
相続人申告登記という新制度
遺産分割協議がまとまらないなどの事情で、すぐに相続登記ができない場合のために、「相続人申告登記」という新しい制度も創設されました。これは「自分が相続人である」ことだけを法務局に申し出るもので、正式な相続登記が完了するまでの暫定措置として利用できます。必要書類も少なく、手続きも簡便です。
相続人申告登記の主な特徴は、申出人の戸籍謄本など最小限の書類で手続きが可能であること、相続人一人からでも申し出ができること、そして登記の義務を果たしたものとみなされることです。ただし、これはあくまで暫定的な措置であり、遺産分割協議がまとまった後は、速やかに正式な相続登記を行う必要があります。
「正当な理由」とは何か
義務を果たせない「正当な理由」としては、たとえば以下のようなケースが考えられます。法務省は具体例として、相続人が極めて多数で戸籍の収集に時間を要するケース、遺産分割協議がまとまらず訴訟が係属しているケース、相続登記の義務を知ることが困難な事情があるケースなどを挙げています。
一方、「忙しかった」「面倒だった」「費用がもったいなかった」といった理由は正当な理由には該当しないとされています。期限を過ぎる前に、相続人申告登記だけでも済ませておくことが重要です。
相続登記の手続きの流れ
相続登記は、以下のような流れで進めます。全体像を把握しておくと、書類の準備や手続きがスムーズに進みます。
相続登記の必要書類一覧
相続登記には多くの書類が必要です。ケースによって異なりますが、遺産分割協議による相続登記で一般的に求められる書類は以下のとおりです。
| 区分 | 書類名 | 取得先・備考 |
|---|---|---|
| 被相続人 | 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍 | 出生から死亡まで連続したもの|本籍地の市区町村 |
| 住民票の除票 | 本籍地の記載があるもの|住所地の市区町村 | |
| 戸籍の附票 | 住所変更歴がある場合に必要|本籍地の市区町村 | |
| 相続人 | 戸籍謄本 | 法定相続人全員分|本籍地の市区町村 |
| 住民票 | 新名義人のもの(本籍地記載入り)|住所地の市区町村 | |
| 印鑑証明書 | 遺産分割協議をした場合に全員分必要|住所地の市区町村 | |
| その他 | 遺産分割協議書 | 全員の署名・実印が必要|自分で作成 or 司法書士が作成 |
| 固定資産評価証明書 | 登記申請する年度のもの|不動産所在地の市区町村 | |
| 相続関係説明図 | 戸籍の原本還付を受けるために作成 | |
| 登記申請書 | 法務局に提出する申請書|自分で作成 or 司法書士が作成 |
相続登記にかかる費用の目安
相続登記にかかる費用は、大きく「登録免許税」「司法書士報酬」「書類取得費用」の3つに分かれます。
① 登録免許税
登録免許税は、法務局に登記を申請する際に納める税金です。相続登記の場合の税率は固定資産評価額の0.4%です。たとえば、固定資産評価額が2,000万円の不動産であれば、登録免許税は8万円となります。
なお、以下のような免税措置もあります。不動産の評価額が100万円以下の土地については、2025年3月31日まで登録免許税が免除される特例が適用されます(適用期限は延長される可能性があります)。
② 司法書士報酬
司法書士に依頼する場合の報酬は、事務所や案件の複雑さによって異なりますが、一般的には6万円〜12万円程度が相場です。広島の司法書士事務所の場合、7万円〜10万円前後が多く見られます。不動産の数が多い場合や相続関係が複雑な場合は、追加費用が発生することがあります。
③ 書類取得費用
戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などの取得にかかる実費です。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円、住民票は1通300円程度が目安です。収集する書類の量にもよりますが、合計で5,000円〜2万円程度になるケースが一般的です。
費用を抑えるためのポイント
相続登記の費用をできるだけ抑えたい場合、以下の点を参考にしてください。
- 法定相続情報一覧図を活用する:法務局で「法定相続情報証明制度」を利用すると、戸籍の束を何度も提出する必要がなくなり、銀行口座の名義変更など他の相続手続きでも活用できます。手数料は無料です
- 免税措置を確認する:固定資産評価額が100万円以下の土地は登録免許税が免除される特例があります。地方の山林や畑地などはこの要件に該当する場合があります
- 複数の司法書士に見積もりを取る:報酬は事務所ごとに異なります。広島市内であれば相見積もりをして比較するのが有効です
- 法務局の相談窓口を利用する:自分で手続きを進める場合、法務局の予約制相談(無料)を活用すると、不備を事前に指摘してもらえます(参考:広島法務局|登記手続案内について)
相続登記は自分でできる?司法書士に依頼すべきケース
結論からいえば、相続登記は法律上、自分で申請することができます。法務局の窓口では登記相談も受け付けていますし、法務局のウェブサイトには申請書の様式や記載例も公開されています(参考:広島法務局)。シンプルな相続(相続人が配偶者と子どもだけ、不動産が1件、遺産分割協議がスムーズにまとまった場合など)であれば、ご自身で進められる方もいらっしゃいます。
一方で、以下のようなケースでは、登記の専門家である司法書士に依頼するほうが確実です。
- 相続人が多い(兄弟姉妹・甥姪が相続人になっている):戸籍の収集範囲が広がり、相続関係の把握が複雑になります
- 被相続人の転籍歴が多い:全国各地の役場から戸籍を取り寄せる必要があり、手間と時間がかかります
- 不動産が複数ある・管轄が異なる:複数の法務局に申請が必要になる場合があります
- 遺産分割協議がまとまらない:協議書の作成方法や法的なアドバイスが必要です
- 何代にもわたって登記されていない:相続関係がさらに複雑化しており、専門的な判断が必要です
- 被相続人の住所変更歴が不明:住民票や戸籍の附票で住所の繋がりを証明できないケースでは、追加の対応が求められます
広島県内には中山間地域の古い土地や、祖父母の代から名義変更をしていない不動産も多く見られます。こうしたケースでは、無理にご自身で進めるよりも、最初から専門家に相談されることをおすすめします。
自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の比較
| 比較項目 | 自分で行う場合 | 司法書士に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | 約9〜11万円(実費のみ) | 約15〜22万円(実費+報酬) |
| 所要期間 | 1〜3ヶ月程度 | 2週間〜1ヶ月程度 |
| 手間 | すべて自分で対応 | 書類収集から申請まで任せられる |
| 正確性 | 不備があると補正指示が入る場合も | 専門家によるチェックで不備が少ない |
| 対応の柔軟性 | 平日に法務局へ行く必要がある場合も | 郵送やオンラインで完結可能 |
| 向いている人 | 相続人が少なく、不動産が1件で、時間に余裕がある方 | 手間を省きたい方、複雑な事案の方 |
上記のとおり、費用面では自分で行うほうが安く済みますが、時間と手間を考慮すると、司法書士に依頼するメリットも大きいといえます。特に、平日に仕事をしている方や、被相続人が広島県外にも不動産を持っていた方などは、専門家に任せるほうが効率的です。
広島で相続登記に強い司法書士事務所5選
広島県内で相続登記の実績がある司法書士事務所を5つご紹介します。いずれも相続関連業務に力を入れている事務所です。(当サイト調べ・2025年2月時点の情報です。ランキングではありません)
よくある質問(FAQ)
まとめ
不動産の相続登記は、2024年4月の法改正により義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が求められるようになりました。この記事のポイントを振り返ります。
- 相続登記とは、亡くなった方の不動産の名義を相続人に変更する手続き
- 2024年4月から義務化。正当な理由のない不申請には10万円以下の過料
- 過去の相続にも遡及適用され、2027年3月末までの対応が必要
- 手続きには戸籍謄本や遺産分割協議書など多くの書類が必要
- 費用は自分で行う場合は約9〜11万円、司法書士に依頼すると15〜22万円程度
- 複雑なケースでは、司法書士に依頼するのが確実で安心
広島県内にお住まいで、ご実家や土地の相続登記がまだお済みでない方は、まずは広島司法書士会の無料相談窓口や、この記事でご紹介した司法書士事務所に相談してみてはいかがでしょうか。早めの行動が、将来のトラブルを防ぐ一番の方法です。
【免責事項】本記事は2025年2月時点の法令・制度に基づいて作成した情報提供記事です。法改正等により内容が変更される場合があります。具体的な手続きについては、必ず司法書士等の専門家にご相談ください。当サイトは司法書士事務所ではなく、法律相談には対応しておりません。掲載している司法書士事務所の情報は当サイト調べによるものであり、最新の情報は各事務所の公式サイトをご確認ください。